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コクミンのオタク日記。 銀魂・近土話は2012年5月まで。スラムダンク話は2012年7月以降。
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今週はBL西遊記週間で!
土曜日まで続くかな?

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「あぶねぇっ」
叫ぶと同時に桜木が如意棒をくるりと伸ばし振り回します。
その瞬間、馬上にいた仙道法師の身は福田が素早く敵の目から隠しました。
山中で不意に現れた妖魔相手に、桜木、沢北、そしてヒト型に変わった流川までもが張り切って闘っています。
少し離れたところでその様を眺めながら、仙道法師は視線を動かさず隣に立つ福田に尋ねるように言いました。
「お前も行って暴れてぇんじゃねーの?」
勝負はどう見ても桜木たちが優勢でした。イキイキと跳ねまわる彼らの姿は、自分の護衛だとただつきそわせ、歩かせている時の何倍も楽しそうです。
「オレは、今度だ」
「なに? そういうのもお前ら当番決めてんの? 次襲われたら誰が仙道係、みたいな?」
楽しげな口調で仙道が、福田を覗き込みました。
「そうでもない。けど、その時一番近くにいたヤツがお前を守る。オレはオレの仕事をする」
力強い福田の声に、仙道法師はにっこりと頬笑みました。
「ありがとな。頼りにしてる」
「……おう」
仙道法師のてらいのない笑顔に、福田は少しだけ頬を染めながら頷きました。
向こうでは、妖魔たちをすっかりのしてしまった桜木の高笑いが聞こえます。
「あ、終わったみてぇだよ。行こーか」
言って仙道法師は福田の手を握り、元いた場所へと戻りました。
「大勝利? ……殺してねーよな?」
「はっはっは。当然だ。この天才桜木、斉天大聖さまにかかれば雑魚どもなんざ殺すまでもねぇ」
「なーに言ってやがる。山の端までぶっ飛ばされてたくせに」
「くっ、あれはたまたま油断してだな!」
賑やかな桜木と沢北の掛け合いと打って変わって無口な流川は、仙道法師の姿が無事なのを見ると再び馬へと姿をかえます。
妖魔どもは気を失い、遥か上空、樹の上にくくりつけられていました。
「あれ。あのままでいいの?」
尋ねる仙道法師に、弟子たち全員が頷きます。妖魔の生態まではよく判らない仙道法師は、そういうものかと納得し、再び流川にまたがろうとしました。
その時、頬をこする桜木が目に留まりました。
桜木の頬が赤く汚れているのは、返り血だろうと思っていました。金剛石から生まれたと豪語するだけあって、桜木はめったと怪我をしないのです。ところが、今こすり落としたはずの血が、桜木の頬からまたじくじくと流れています。
「珍しい。お前、怪我したの? 見せて」
人の身でありながら長身の仙道法師は、桜木のすぐ傍へと寄りました。
「んだよ。こんなもん……」
小さいとはいえ傷を負ったせいか、決まり悪げに呟きながら桜木はそっぽを向きます。
その隙に仙道法師は、桜木の傷口へ唇を寄せました。そして意を決したように舌を伸ばし、そっと傷へと触れました。
「なっ」
さすがに驚いたように跳びすさろうとする桜木の腕を掴み、間近で仙道法師が笑いかけます。
「舐めてりゃ治る。……だろ?」
以前、不注意で傷を負った仙道法師の傷を、桜木はそう言って舐めて癒しました。
今度はお返しです。
いたずら心を隠し、にこにこと笑う仙道法師に桜木は少しだけ唇を突出し思案する素振りでいましたが、「そうだな」とひとりごちると強張っていた体の力を抜きました。
仙道法師としては色事に極端な拒絶反応を見せる桜木のこと、きっと筋斗雲でも呼んでどこかへ逃亡するのではと思っていただけに、素直な様子に内心拍子抜けでした。
けれど、傷を舐めるくらいのことで自分が気休めにでもこの弟子たちの役に立つのなら、それはとても嬉しいことです。
常日頃、仙道法師は自分を守るために弟子たちが傷つくことに胸を痛めていました。
それでも桜木が照れて逃げ出してくれれば、自分は余裕ぶって笑っていられたのに。そんな自分の浅はかな計算は見事に肩透かしでした。
花果山育ちの桜木は、幼少の頃からこうして仲間の猿たちと傷を舐めて治していたのだと思うと、仙道法師は、妙にドキドキした自分が恥ずかしくなりました。
心なしか頭が、いえ、全身が熱くなってきます。
「ん。もういい」
桜木の制止の声に、ようやく我に返ったように仙道は体を離しました。
その手首を桜木がグッと掴みます。
「……どうした? おめー、顔真っ赤だぞ」
「あ、え? べつにどうも。なんかちょっと……離せよ」
桜木が掴む手首から、熱がどんどんと伝わってきます。今の自分は端から見ても顔が赤いと判るほどに上気しているのでしょうか。
ただ桜木の頬を舐めたというだけで。
「はな、せ……」
羞恥でしょうか。一度意識してしまうと、どんどんと血が全身を駆け巡ります。心なしか息まで荒くなってきました。それを抑えようと仙道法師は思い切り息を吸い込み、そして。
「センドー? オイッセンドー!?」
崩れ落ちる体を桜木に抱きとめられながら、仙道法師は意識を飛ばしました。

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つづく。とりあえず明日までは続く。多分。多分かよ(セルフツッコミ)!
こんなんでもお付き合下さるあなた、本当にどうもありがとう!

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