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コクミンのオタク日記。 銀魂・近土話は2012年5月まで。スラムダンク話は2012年7月以降。
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拍手ありがとうございます!
メッセージ下さった方へは「お返事」のページに返信があります。
気が向いた時に覗いてやってください。
本当にどうもありがとう!

よそのサイト様の仙道語りを再び読み返してにやにやしています(笑)。
あー仙道はいいよね。
自分が思う仙道ってこんな感じ、というのを拝見しては、そうそう判るぅ! とか、ほほぅウチはその場合こうだなぁ、なんて考えてニヤニヤニヤ。
皆さまももっと語って下さい。

今自分が思う仙道に似合うこと。
ダンサー。仙道はダンサーになればいい。
上半身裸で黒スパッツでボレロとかもふんぎゃーってなる。絶対なる。
けどスパニッシュなフラメンコやアイリッシュダンスも絶対に合う。
まあこんなこと言ってるのもヤン・リーピンの孔雀って舞台の宣伝見て、派手じゃのう! 仙道に似合いそうじゃのぅ! って思ったからなんですけど(笑)。
あれ孔雀の恋物語とかって男女でやってるけど、孔雀ってメス地味じゃん。あれじゃダンサーが男女でもオス二羽じゃん。とか考えてまたにやにや。

仙道は女性と踊るのもすっごく似合うとは思うんだけども、ここはひとつ男二人で踊って欲しい。
どちらかが女性パートというのではなく、求愛ダンスで競い合うオスって感じで「オレこんなことできるぜ」「オレここまで跳べるぜ」「オレは」「オレは」って争うように美しさとしなやかさ、力強さや逞しさをアピって男二人でダンス。
萌え。

桜木と、流川と、牧さんと、対戦相手が変わると仙道の艶や輝きも違って見えて、そりゃもう美しいもんですよ。

拍手[9回]

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BL西遊記。5/4から続いてるよ。

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その後も仙道法師は体が火照って仕方がありません。
ですが桜木は、今度は強く抱きしめたまま唇ひとつ与えてはくれませんでした。
「離せ、よ。お前がヤならオレ自分で……」
かすれがちな声で囁く仙道法師の望みを、桜木はきっぱり否定しました。
「駄目だ」
「っ……!」
悔しくてもがこうにも、桜木の腕はびくともしません。
「なんだよお前、ならお前がすりゃいいだろ? 抱いてくれって言ってんの。それともオレじゃマズくて食えねぇ?」
桜木のものが自分に反応していることは、触れた腹の下で着衣越しにも感じられます。
だからこそ仙道法師は、わざと煽るようなことを言いました。わずかに動く頭を回し、桜木の頬へ再び舌を這わせようともしてみましたが、やすやすと後頭部を押さえられました。
桜木の肩口に顔をうずめながら、仙道法師は観念したように口をつぐみ、体内で暴れる欲望の波に耐えることにしました。
桜木の体温、耳元で聞こえるかすかな呼吸、そして強く抱かれた腕の硬さ、そんなものにすら欲情が募ります。
行き場をなくした脳内の妄想を説伏しようと懸命に経を唱えながら、どれほどの時が流れたでしょう。
ふと体が楽になりました。
気付けば桜木が腕を緩め、顔を覗き込んでいました。
「よし。もう平気になったな?」
言われてみれば確かに、気分は落ち着いています。はぁ、と大きなため息をつくと、仙道法師はにっこりと笑いました。
「ん、なんとか。つき合わせて悪かった」
立ち上がり振り向けば、他の弟子たちの姿が見当たりません。
聞けば一足先に、次の宿営地を探しに行ったとのことです。
「こんな状態のおめーを見せるワケにゃいかねーだろ」
唇を尖らせる桜木の横顔に、仙道法師は小さく自嘲めいた笑みを漏らしました。
「そだな。みっともねーとこ見せちまって、悪かった」
「そうじゃねぇ」
「あ?」
「オレが見せたくなかったんだよっ。おめーがその、あんな、色っぽい……」
口ごもる桜木の頬が朱に染まっています。
「……その割にお前、オレに手ぇ出してくんねーのな」
ぽつりと吐き出した仙道法師の拗ねたような言葉に、桜木は「はっはっは」と嬉しそうに笑いました。
「なんせオレ様の血だからな。栄養満点だ。ヨクボーだなんだって簡単に吐き出されちゃもったいねぇダロ?」
「……え」
「これでおめーにもこの斉天大聖様の血が流れてるってことだ。おめーもオレの子分にしてやろう」
高笑いを続ける桜木に、仙道法師は肩の力を落としました。
「お前オレの弟子のくせに。弟子の子分の師匠ってありえねーだろ……」
「それによ」
仙道法師の脱力した様子を気にもとめずに桜木は、照れたように地面を見つめます。
「おめーと初めてやるのに、その、薬だ血だってそんなもんで興奮させてる状態じゃ、つまんねーだろ。オリャもっとちゃんと……自分で……」
消え入りそうな呟きも、仙道法師の耳にはちゃんと届きました。
「なに? ちゃんと口説いてくれんの? お前が?」
先ほどまでとは違い、仙道法師の声も弾んでいます。
「くっ、口説くっていうか、……そういうんじゃねー!」
「じゃあどういうのだよ?」
「だああっ。その時がくりゃワカル!」
「その時? くんの? へー。そりゃちょっとオレも楽しみだなあ」
すっかりいつもの掛け合いに戻った仙道法師と桜木は、仲間の待つ次の宿場を、そして取経の地である天竺を目指し、歩いていました。

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はっはっは。いやもう本当、お付き合いありがとうございます!
よく一週間も続いたなあ。最後流川も福田も沢北も出番なかったけど(ごめん)。

拍手[11回]

昨日からの続き。西遊記ネタ自体は5/4から。
拍手下さる方、本当にどうもありがとう! おかげでダラダラ続いています。
全くの独り言だとさすがにちょっと寂しいのでね(笑)。
メッセージ下さった方へは「お返事」のページにレスがあります。
ありがとう、いい人たち!

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「しっかりしろよ。オイッ。センドー!」
叫ぶ桜木の声を意識の彼方で聞きながら、仙道法師は夢を見ていました。
それは夢の形を借りた、幼少の記憶でした。
捨て子として寺に拾われた仙道には、寺と仏の教えがすべてでした。
教えを学び、年長者のいうことを素直に聞く仙道は、長ずるにつれ利発に、そして見目麗しくなりました。
目鼻立ちの整いは勿論、不平を漏らさず陰口を叩かぬ、我慢強い努力をする性質は、同じような境遇の子供たちの中でもひときわ目を引くものでした。
そんな仙道が大人たちには可愛がられるという名目で、同年輩の者たちにはやっかみの為、体を好きに使われるようになったのはいつの頃だったでしょう。
はじめは苦痛でした。けれど仙道が本当に我慢ができなくなったのは、その苦痛に慣れた自分の体が、快楽を拾い集めだしたことでした。
辛いだけならば修行と思い、耐えることもできます。なのにそこへ快楽が混じってしまえば、まるで自分がその行為を待ち望んでいるかのようです。
仏典にも性愛の教えはあります。けれどそれは男女の和合を説くものであり、快楽に耽ることではない筈です。
仙道は夜に怯え、それまで以上にひたすらに、昼間のお勤めに励みました。
誰もが嫌がる仕事へ積極的に名乗り上げ、それこそ夜は夢も見ずに眠れる程に身を粉にして働きます。
その内、寺院での地位が高くなればなる程、自分に手を出してくるものが減ると気づきました。それからの仙道は、まさに寝食を惜しむように仏の教えにのめり込み、やがては唐の国でも一、二を争う高僧として数えられるようになったのです。
もう、夜の不埒な誘いをかけてくるものはいません。あったとしても、それをかわす社交も儀礼も、仙道は身に着けています。
それでも。
仙道が拾われ、育てられたのは大きな寺でした。今も居を構えるそこには、自分より身分が下となった兄弟子がいます。私腹を肥やすことにしか目のない腐敗した名ばかりの師がいます。それらの目は、自分が稚児として扱われていたことを知っていると、忘れてなぞやるものかと仙道の肢体を舐め回します。
そんな時、西天取経の話が持ち上がり、見事仙道がその旅に選ばれました。
険しい道のりも妖魔どももなんのその、公に寺から出ることができるのだと、仙道は一も二もなくその話に飛びつきました。
なにより一途にすがり続けた仏の真の教えを学べるかと思うと、光が、希望が湧いてきます。
道中、襲かかる魔物や妖魔が自分を性的に狙っていると知った時は、笑い出したい気分でした。
人も魔物も関係ない。自分の価値は体だけなのだ。寺から出たところで、次は妖魔どもに食らわせてやるだけのこと、ただ相手が変わるにすぎないのだ。西天取経の旅に自分はどれほどの望みをかけていたというのか。自分のいた寺だけが異常だと、世間は違うのだと生ぬるい願望を抱いていたのか。
そんな甘い考えを抱いた己が許せないとでもいうように、旅に出る際に法師となった仙道は、妖魔どもにもやすやすと自分の体を与えようとしました。
そのたび一番弟子となった桜木が救いだし、怒鳴ります。
「もっとてめーを大事にしろってんだ!」
大事もなにもない。既に汚れたこの体を一時抱くことで、妖魔どもが他の一般人に手を出すことを控えたり、飢え(かつえ)が癒えるというのなら、さあ好きにしろ。
そう思っていた仙道法師ですが、体だけを目当てとしない桜木に、そして自分についてきてくれる沢北、福田、流川といった者たちの存在に、無意識に救われていたのも事実でした。
ただ幼少から快楽を教え込まれた体は時に、法悦よりも直接的な悦楽を求めてしまうことがあります。
今がそうでした。
体が熱く、燃えるようです。
「……大丈夫か」
耳元で囁く声に、仙道はゆっくりと瞼を開きました。
「桜木……」
大きな樹にもたれ座った形で自分を抱き締める相手に、そっと仙道法師が呼びかけます。
蓋をしておきたい過去が夢の中から黒い腕を伸ばし、自分を、熱く湿った闇の世界へ連れ戻そうと鉤爪を伸ばしているかのように感じられました。
拒む力もなかった、あの頃とは違う。
今の自分は悦楽すらも選んで、自分の意志で貪るのだ。
煮えたぎる欲望を腹の内に抱えながら、仙道法師は目の前の桜木に囁き続けました。
「したい……。して。なぁ、抱いて。むちゃくちゃにしていいから……」
言いながら、寝ぼけているのかと仙道法師も自分でちらりと思います。ですがそれが本心でした。
体が火照って仕方がないのです。治めるにはただひとつ、欲望を吐き出すしか思いつきません。
その為の相手は誰でもよかったといえば、桜木は傷つくでしょうか。
そんなことまで考えながら、仙道法師は身動ぎしようとしました。しかし自分を抱き締める桜木の腕は緩まるどころかますます強くなりました。
「さ、くら、ぎ」
向き合う形で抱き締められ、桜木のものが着衣の下、欲情による反応を示していることが仙道法師にも感じられます。
それが自分を貫き、追い上げてくれるのならばどれほどの快楽が得られるだろう。
そんな浅ましいほのかな期待を、自分の背を強く抱く桜木の腕が砕きます。
「桜木? きつい。……離して。オレ今、してーの。お前がヤならオレ、自分でするし……」
興奮に浮かされた状態で仙道法師が囁きますが、桜木は小さく左右に首を振りました。
「オレのせいだ」
いつも元気いっぱいの桜木の声とは思えない程沈んだ声に、仙道法師はわずかに動く顔を上げます。
「普段葉っぱしか食ってねーくせに、おめーがオレの血なんざ舐めるから。あたったんだよ。興奮剤一気飲みみてーなもんだ。多分もうじき抜けっから。じっとしてろ」
その言葉にようやく仙道法師にも合点がいきました。
確かにこれまで獣や魚の肉は勿論、血を口したこともありません。
それがいきなり神仙の、天界で大暴れした活力溢れる岩猿の血を舐めたとあれば、なるほど、誰に高僧といわれようが所詮人に過ぎない自分が、のぼせ上がるのも無理はありません。
半ばからかうつもりで桜木の頬を舐めただけのはずが、とんでもないことになりました。


---
勿論本来の西遊記はこんなじゃないと思う。けどほら、BL西遊記だし!
ふはははは!
…なんか色々、ごめん。

拍手[7回]

今週はBL西遊記週間で!
土曜日まで続くかな?

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「あぶねぇっ」
叫ぶと同時に桜木が如意棒をくるりと伸ばし振り回します。
その瞬間、馬上にいた仙道法師の身は福田が素早く敵の目から隠しました。
山中で不意に現れた妖魔相手に、桜木、沢北、そしてヒト型に変わった流川までもが張り切って闘っています。
少し離れたところでその様を眺めながら、仙道法師は視線を動かさず隣に立つ福田に尋ねるように言いました。
「お前も行って暴れてぇんじゃねーの?」
勝負はどう見ても桜木たちが優勢でした。イキイキと跳ねまわる彼らの姿は、自分の護衛だとただつきそわせ、歩かせている時の何倍も楽しそうです。
「オレは、今度だ」
「なに? そういうのもお前ら当番決めてんの? 次襲われたら誰が仙道係、みたいな?」
楽しげな口調で仙道が、福田を覗き込みました。
「そうでもない。けど、その時一番近くにいたヤツがお前を守る。オレはオレの仕事をする」
力強い福田の声に、仙道法師はにっこりと頬笑みました。
「ありがとな。頼りにしてる」
「……おう」
仙道法師のてらいのない笑顔に、福田は少しだけ頬を染めながら頷きました。
向こうでは、妖魔たちをすっかりのしてしまった桜木の高笑いが聞こえます。
「あ、終わったみてぇだよ。行こーか」
言って仙道法師は福田の手を握り、元いた場所へと戻りました。
「大勝利? ……殺してねーよな?」
「はっはっは。当然だ。この天才桜木、斉天大聖さまにかかれば雑魚どもなんざ殺すまでもねぇ」
「なーに言ってやがる。山の端までぶっ飛ばされてたくせに」
「くっ、あれはたまたま油断してだな!」
賑やかな桜木と沢北の掛け合いと打って変わって無口な流川は、仙道法師の姿が無事なのを見ると再び馬へと姿をかえます。
妖魔どもは気を失い、遥か上空、樹の上にくくりつけられていました。
「あれ。あのままでいいの?」
尋ねる仙道法師に、弟子たち全員が頷きます。妖魔の生態まではよく判らない仙道法師は、そういうものかと納得し、再び流川にまたがろうとしました。
その時、頬をこする桜木が目に留まりました。
桜木の頬が赤く汚れているのは、返り血だろうと思っていました。金剛石から生まれたと豪語するだけあって、桜木はめったと怪我をしないのです。ところが、今こすり落としたはずの血が、桜木の頬からまたじくじくと流れています。
「珍しい。お前、怪我したの? 見せて」
人の身でありながら長身の仙道法師は、桜木のすぐ傍へと寄りました。
「んだよ。こんなもん……」
小さいとはいえ傷を負ったせいか、決まり悪げに呟きながら桜木はそっぽを向きます。
その隙に仙道法師は、桜木の傷口へ唇を寄せました。そして意を決したように舌を伸ばし、そっと傷へと触れました。
「なっ」
さすがに驚いたように跳びすさろうとする桜木の腕を掴み、間近で仙道法師が笑いかけます。
「舐めてりゃ治る。……だろ?」
以前、不注意で傷を負った仙道法師の傷を、桜木はそう言って舐めて癒しました。
今度はお返しです。
いたずら心を隠し、にこにこと笑う仙道法師に桜木は少しだけ唇を突出し思案する素振りでいましたが、「そうだな」とひとりごちると強張っていた体の力を抜きました。
仙道法師としては色事に極端な拒絶反応を見せる桜木のこと、きっと筋斗雲でも呼んでどこかへ逃亡するのではと思っていただけに、素直な様子に内心拍子抜けでした。
けれど、傷を舐めるくらいのことで自分が気休めにでもこの弟子たちの役に立つのなら、それはとても嬉しいことです。
常日頃、仙道法師は自分を守るために弟子たちが傷つくことに胸を痛めていました。
それでも桜木が照れて逃げ出してくれれば、自分は余裕ぶって笑っていられたのに。そんな自分の浅はかな計算は見事に肩透かしでした。
花果山育ちの桜木は、幼少の頃からこうして仲間の猿たちと傷を舐めて治していたのだと思うと、仙道法師は、妙にドキドキした自分が恥ずかしくなりました。
心なしか頭が、いえ、全身が熱くなってきます。
「ん。もういい」
桜木の制止の声に、ようやく我に返ったように仙道は体を離しました。
その手首を桜木がグッと掴みます。
「……どうした? おめー、顔真っ赤だぞ」
「あ、え? べつにどうも。なんかちょっと……離せよ」
桜木が掴む手首から、熱がどんどんと伝わってきます。今の自分は端から見ても顔が赤いと判るほどに上気しているのでしょうか。
ただ桜木の頬を舐めたというだけで。
「はな、せ……」
羞恥でしょうか。一度意識してしまうと、どんどんと血が全身を駆け巡ります。心なしか息まで荒くなってきました。それを抑えようと仙道法師は思い切り息を吸い込み、そして。
「センドー? オイッセンドー!?」
崩れ落ちる体を桜木に抱きとめられながら、仙道法師は意識を飛ばしました。

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つづく。とりあえず明日までは続く。多分。多分かよ(セルフツッコミ)!
こんなんでもお付き合下さるあなた、本当にどうもありがとう!

拍手[5回]

拍手押して下さる方が一人でもいるってことは、まだ続けてもいいですか。
という訳で調子に乗ってBL西遊記。スタートは5/4からだよ!
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旅を続ける仙道法師一行は、道なき道を歩みます。
その時々で先頭に立つ弟子たちが藪を薙ぎ、しんがりを固めつつの行程です。
「あいてっ」
ある時仙道が馬上で声を上げました。慌てた弟子たちが見れば、仙道法師の首から一筋の血が流れています。
「あー。平気。ちょっと小枝に引っかかっただけ。ぼうっとしてた」
仙道法師は袖の内衣を破ろうとしながら、照れたように微笑みました。と、桜木が軽く浮かび上がりその手をとめ、仙道法師の首筋へ、ぺろりと舌を這わせました。
「ちょ、あの。……桜木?」
顔をのけぞらせながら、仙道法師は馬から落ちずにいられるよう、手綱をぎゅっと握りしめます。
その間も桜木の舌はとまりません。
ゆっくり、ゆっくりと傷口を何度も舐め回します。
その優しい、けれどどこかなまめかしい感触に仙道法師は小さく震えました。
「あの……。さくら、ぎ?」
他の弟子たちは呆気にとられたのでしょうか。風が葉を揺らす音だけが数瞬流れていました。
「よし。これで平気だ。このくらいの傷は舐めてりゃ治る」
間近でニッと笑った桜木の顔に、仙道法師の胸がドキリと鳴りました。けれど悪気のない、それどころかこちらの為を思ってくれた行いに、なにか下心的な意図があろう筈がありません。
「あ、……ありがと」
呟くように言うと仙道は、決まり悪げに沢北、福田といった他の弟子たちへ目をやります。
やれやれと溜息のような長い息を吐き出す福田と対照的に、沢北はなにか言いたげに桜木を指差しながら口をパクパクさせています。
「ん? どうした。これが咄嗟の判断力だ」
威張って胸を張る桜木に、沢北が怒鳴り声を上げました。
「てっ、てめえがちゃんと藪払わねぇからだろが! お師匠はな、馬に乗ってんだよ。その辺きちっと考えに入れて藪払えってんだよ!」
「ぬ? てめー……。オレが先達だってんで妬いてんな?」
「バカヤロウそりゃただの当番じゃねぇか! 先達なら先達らしくちゃんと藪を払えバカヤロウ!」
「妬くな小坊主」
「誰が小坊主だ!」
今日も今日とて賑やかな旅の空、仙道法師は隣を歩く福田と目を合わせ微笑むと、そっと自分の首筋を撫でてみました。
桜木の唾液が効いたのでしょうか、そこからはもう血は流れていません。
なのに舐められていたその部分の熱い疼きは、それからしばらくの間、仙道法師の胸を締めつけていました。
「……しゃれになんねぇ」
吐息のようにかすかにこぼれた仙道法師の呟きは、幸いなことに誰にも聞かれていませんでした。

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どうなの(笑)。

拍手[7回]

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