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コクミンのオタク日記。 銀魂・近土話は2012年5月まで。スラムダンク話は2012年7月以降。
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夏コミ用の入稿が終わって、よっしゃペーパーだ、バカシリアスの小話書くんだ、ひーっひっひ、砂漠の近藤王子と色奴隷トシじゃよ、興奮するのう!
と、書きはじめた途端にバタバタしてグッバイ8月! という訳で、近藤さんどころかオイオイ「あの人とトシなの…?」ってドン引きされそうなトコまでしか書いてないですが、拍手下さった方とかいて、嬉しかったのでここで無理やりさらしておく(笑)。

お礼どころか、おのれ近土サイトで拍手して、これはなんの仕打ちか! って思うかもですが、シャレだから!
と、いう訳で、以下、なんでもOKの方だけどうぞ。

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荒野に、熱い風が吹く。堅い地面に生えたまばらな草の根元で小さなトカゲがきょろりと目玉を動かした。
砂煙が一瞬静まれば、そこへ乾いた砂岩レンガを積み上げたアーチ型の門が現れる。旅人はまず門をくぐった先にあるバザールに、この荒野によくもこれだけの人が、と目を見張った。日よけを兼ねた長い布をまとった人々は日中こそ太陽を避け建物の中で休んでいるが、日が暮れるとともに活気に満ち、通りへ溢れる。
その国のどの場所からでも見えるのが、正面にある壮麗な王宮だった。

この国の王である松平は、警備にと室内に配置された近衛兵である、土方を手招きした。
「よォ。ちょうどいいや。オメーどう思う?」
そう言うと松平が机の上へ、手紙を投げ出す。丸めて届けられたそれは型がついた通り再び丸まり、机を転がる。落ちる寸前それを取り上げた土方は、ちらりと松平を眺めると、その紙へ書かれた文章に目を通す。
遠く離れた大国の使者よりもたらされたその手紙には、この国の王子である近藤を三年間、その国へ留学させろと書かれていた。
「これは……」
眉間に皺を深く刻み、土方はいつにも増した凄みのある顔で松平に視線を戻した。
大国の欲望は計り知れない。経済的に友好関係を保ってはいるが、これははっきりと人質を要求しているのだ。
「弱っちゃってんだよおじさんも。この国にゃアイツしか王子はいねーからよ、こんな危なっかしい話にハイそうですかと乗っちまったら、アイツも洗脳されていずれ国ごと乗っ取られるか、へたすりゃ事故にみせかけて、だ」
だからといって断ればどうなるのか。物理的な距離からして戦になるには多少の猶予はあるだろうが、その大国相手の商売に障りが出るのは時間の問題だろう。この国では大国から食料の大部分を輸入している。それに対してこちらが輸出するのは乾燥に強いハーブやスパイス、特殊な織物に、銀と、貴重な、燃える水だった。
大国の狙いは銀と、燃える水だ。特に燃料となる燃える水をなんとか安く手に入れようといつも躍起になっている。難癖をつけ、戦になるきっかけを作りたいのかもしれない。
「だからと言って、近藤さんをみすみす差し出す訳には……!」
気色ばむ土方に面白くもなさそうな様子で、松平は耳の穴を小指で掻いた。土方は王子である近藤の乳兄弟である。その為、生まれてからほぼすべての時を共に暮らしてきた王子近藤への忠誠心は絶大だった。
「方法がねーでもねェけどよ」
言うと松平は土方の爪先からねっとりと、なぶるように視線を這わせる。松平が口先で、香りの強い紙巻煙草を何度か強く燃え上がらせると、部屋には独特の煙が漂った。
土方の綺麗に整った男らしい容貌は、瞳の奥にどこか潔癖さをまとう。俗を他人事と捉え、孤高に背筋を伸ばし佇む姿は、松平の中にある嗜虐性をそそる。
近衛兵の筆頭を務めるのは王子と乳兄弟だからばかりではない。周囲を認めさせるだけの剣の腕があり、頭も切れた。この美しい男を地へ這わせるのは、なんと甘美な事だろう。
煙草を消すと、松平は大きなサングラスの奥で目を細める。アラベスク模様の彫られた硬い樫のテーブルに置いた指で小刻みにリズムを取りながら、松平は舌で唇を湿らせた。
「トシ。おじさんのおもちゃになれよ」
「なにを……?」
半ば城で育った土方ではあったが、松平と正式に顔を合わせたのは近衛兵に任命されてからの事だった。王としての言葉には無茶も多い。今度はなにを言い出したのかと怪訝に思った土方が眉根を寄せるのを意にも介さず松平は言葉を続ける。
「人質差し出す代わりにこれを、ってオメーどんだけ金かかると思ってんだよ。そのくらいならもういっそあのヤロー留学に出して大国の技術のひとつも学んでこいって言いたいくらいだよ。そこをぐっと堪えて、上げる予定の関税率も据え置いてやろうってんだ。面白くねェからトシ、お前で遊ばせろや」
「なんで俺が」
「そりゃァオメーが、近藤助けたいって一番に思ってるからだろうよ」
「……俺は、なにをすればいい」
「そうだなァ。まず、服脱げや」

遠く、海の町まで外遊に出ていた近藤たちのキャラバンが戻ってきたのは、それから一月ほど経った頃だった。
出迎えにと道や広場へ集まる群衆に手を振り、戻った王宮で、近藤は迎えに壁際へ居並ぶ近衛兵たちへ視線を走らせると、確認するようにもう一度ゆっくりと顔のひとつひとつへ目をくれる。
見慣れた、土方の姿がなかった。
外遊へと連れ立たない時は磨き上げられた城で、近衛兵隊長として一番目立つ場所で、背筋を伸ばし自分を迎え入れてくれるものを。
その後、湯を浴び、食事を済ませたところで近藤は一向姿を現さない土方に焦れ、近侍の一人である山崎へ行方を問うた。
「土方様は、ただいま、王のお務めでございましょう」
伏し目がちに俯いた山崎の言葉に近藤は、ふう、と大きな溜息をついた。
「なんだよ。つまんねーの。人が折角土産いっぱい持って帰ってきたのにィ。あ、ザキにもあげるね、コレ向こうで流行ってたキャンディ。びっくり玉っての。途中で味が変わるの。面白いよ。それからさァ……」
久し振りの母国語のニュアンスにほっとした近藤が、山崎相手にぽつりぽつりと異国の話をし終えても、その日、土方が近藤の許へくる事はなかった。
その後、三日経っても王の姿はもとより土方の姿も宮殿で見かけない。近衛兵の宿舎は宮殿内部の一角にあるが、土方はそこへも戻っていないという。そのくせ行方を聞けば皆、土方は王の仕事だと、所在は王に聞けと言い、口を閉ざす。ならばと王宮の深部、王の部屋を訪ねれば、すげなく立ち入り禁止を告げられ、面会すら断られる。
それでも仕事ならば仕方がないとその日も会うのを断られ、鼻息を荒げながら、王の居室から戻る途中で共に海の国へと行っていた、土方に次ぐ近衛兵の中の実力者、沖田が通りかかるのを呼び止めた。
「総悟。トシ見なかった?」

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ここまでしか書いとらん。続きはアナタの心の中で!

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