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ところで先日、ラピュタ放送だったんだね。以前見た事はあるけど見逃したな…。マスラピュの為に見ておけばよかった。
という訳で、以下唐突にマスラピュ。
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「すみません。寝てました?」
電話口で彼が言った。以前ふとした事から番号を交換してそれきりで、珍しい。というか彼と電話で話すのは初めてだ。
「いや。起きてたけど」
こんな時間にと時計を見て、彼は今日、休みなのかなと思う。なら、俺が行かない日でちょうどよかった。一人で飲む為に行く場所だけど、彼がいないとつまらない。
相手は、俺が週末ごとに通いつめる、バーのマスター。
「よかった。どうしたんですか、今日。現れないから心配で。一人で寝込んでたりしたら大変だなーって」
彼の明るい声に、なんだか妙に人恋しくなっていた俺はどこかほっとする。
「べつに。ただ今日はちょっと行けなくて」
いつも金曜日にはそこが俺の指定席だとばかりにカウンターに陣取って酒を飲む。その時、酒を作ってくれるのが彼だ。
「今ね、ちょっと休憩って抜けてるんです。店閉めてからだから12時半……は、回っちゃうと思うけど。俺、そっち行ってもいいですか」
突然の彼の言葉に驚いた。
「なんで?」
「あなたが、一人で寂しいんじゃないかなって」
軽い口調に恩着せがましさはなかったが、それこそなんでそんな事が判るんだ。俺が驚いていると、彼が核心を突いた。
「ラピュタ」
「え?」
そのキーワードに俺がうろたえると、彼が続ける。
「今日、ラピュタ見たんでしょ? 金曜ロードショー。見終わって、寂しいんじゃないかなって」
「なんで判んの?」
どこかで見られてるんじゃないかと、思わず背後を見回すが、勿論自分のマンションに誰かいる訳がない。
「あっは。ホントに見てたんだ。……酒、持って行きます。二人で飲みませんか」
「……俺んちで?」
「だって俺んち知らないでしょ?」
確かに昼間、偶然マスターと出会い、彼は一度だけこの部屋にきた事がある。
「いい、けど」
マスターの弾んだ声に、自分でも不思議な程あっさり答えていた。
「やった。じゃ、仕事終わったらまた連絡します。それまで寝ないで下さいよ?」
そう言って切られた電話を暫く呆然と眺めていたが、こうしちゃいられない。掃除機はこの時間だからやめにして、それでも片付けくらいしよう。
彼の、マスターの強引さに、ラピュタの放送が終わった時にいつも感じる寂寥感が霧散する。
いつしか俺は、まるでこの日を以前から約束していたように彼を待つのが楽しくなってきた。
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この後ラピュタはマスターに食われる。
マスラピュ物語、真面目にやるとパラレルな分だけオリジナル要素入れられるから長くなるね。
ちゃんと一本に書きたいような、それ本当に文で読んでも近土かしら? なような。